バンビオ店の本棚から

『青春ふたり乗り』

『青春ふたり乗り』 (益田ミリ/幻冬舎) 『青春、手遅れ』のタイトルで2010年に刊行されていた益田ミリさんのエッセイが文庫化された。 青春時代に多くの忘れものをしてきたというミリさん。そのせいで、なのか、そのおかげで、なのか生まれてしまった、現…

『ナチュラル・ナビゲーション』

『ナチュラル・ナビゲーション』(トリスタン・グーリー/紀伊國屋書店) ナチュラル・ナビゲーション。聞き慣れない単語である。本書の冒頭50ページ近くにわたってナチュラル・ナビゲーションという言葉について著者の考え方が示される。だがこの長いまえが…

『いい階段の写真集』

『いい階段の写真集』(ビルマニアカフェ/パイインターナショナル) 歩道橋に上るのが好きだ。 国道を行きかう車を見下ろしたり、わくわくしながら電車が来るのを待ったり。地べたにいては見えない景色にどきどきする。階段を上った先に広がる世界を期待し…

『言葉と歩く日記』

『言葉と歩く日記』(多和田葉子/岩波新書) 言葉が違えば文化も違う。ものの感じ方も違うし感覚も違う。国、地方、時代、年齢。あたりまえのことだが、あまりの違いに驚かされることはよくある。本書では、ドイツに暮らし日本とドイツの二つの言葉を使って…

大変なことになっている 『楽しい古墳案内』

『楽しい古墳案内』 太陽の地図帖023(平凡社) 古墳ブームが来ている、らしい。あのもこもこした風貌の、近寄れば思いの外でかい古墳。なんでもない田んぼの中や、静かな住宅街に突如としてのっそり現れる古墳。 小さい頃、祖母の家の近くに古墳があった。…

馬だ、馬だ! 『馬の世界史』

『馬の世界史』(本村凌二/中公文庫) 「もし馬がいなかったら、21世紀はまだ古代だった」。そんな仮説から始まる本書は、つまり干支の午年が存在しなくなり、これまでの午年がすべて消滅したと考えると、単純に計算して西暦00年から2014年まで午年は2014÷1…

新春かるた大会『ニシワキタダシ 日々かるたブック』&フェアのおしらせ

凧あげ、駒まわし、双六、福わらいなど新年ならではのあそびはいろいろありますが、この度バンビオ店内で「新春かるた大会」を開催いたします。日々のあるあるをシュールにさり気なく切りとる『ニシワキタダシ 日々かるたブック』で輪になり、今年も一年たの…

『もうすぐおしょうがつ』

「♪もういくつ寝るとお正月~」の"いくつ"も、いよいよあと"一つ"となり、あっという間に今年も大晦日。なにかとバタバタ過ぎる師走の中で、家族が集まり久しぶりにテーブルを囲む大晦日は、いつもより少し時間をゆったり過ごせるという方も多いのではないで…

お茶目な開運 『DARUMA BOOK』

『DARUMA BOOK』(cochae/青幻舎) 「縁起物」というイメージはあるものの、実はなんなのか良くわかっていない、ちょっとミステリアスな存在のだるま。そんなだるまを日本中から集め、一冊にまとめたのが『DARUMA BOOK』だ。手がけたの…

「筒井商店」的な生き方 『はじめてのおつかい』

『はじめてのおつかい』(林明子/福音館書店) 「みいちゃん、ひとりでおつかいできるかしら」 「ひとりで!」 ある日、忙しいままに言いつかったはじめてのおつかい。ひゃくえんだまを握りしめて、みいちゃんが向かうのは坂のうえにある小さなお店です。と…

本屋のなかの街 『名古屋とちくさ正文館』

『名古屋とちくさ正文館』(古田一晴/論創社) 名古屋にちくさ正文館という書店がある。決して大きな規模ではなく、かといって家族経営の小さな書店でもない、いわゆる街の本屋さん。その本店に勤務する店長の古田さんへのインタビューで構成されたのが本書…

どうでもいいこだわりに溢れた人生の断片 『グだくさんのグ!!』

『グだくさんのグ!!』(グレゴリ青山/メディアファクトリー) 京都在住の漫画家グレゴリ青山さんのエッセイ。「どうでもいいこだわりに溢れた人生の断片コミックエッセイ」との副題の通り、著者がハマったものたちはしつこいほどにキラキラと描かれる。前半…

アメリカ文学への入門書 『アメリカン・マスターピース 古典篇』

『アメリカン・マスターピース 古典篇』(柴田元幸/スイッチパブリッシング) 柴田元幸編訳による、アメリカ文学の名作中の名作と言われる短編を集めた一冊。古典篇・準古典篇・現代編とつづく三冊のうちの最初に刊行された一冊だ。本篇に収録された八人は…

おじさんの真実 『おじさん追跡日記』

『おじさん追跡日記』(なかむらるみ/文藝春秋) 前作『おじさん図鑑』(小学館)ではひたすらおじさんを観察し続けた著者のなかむらるみさん。今回は一歩も二歩も踏み込み、インタビューを敢行。のはずが、仕事場を訪問し、自宅に遊びにいき、お墓の前で記…

働くということを考える  『善き書店員』

『善き書店員』(木村俊介/ミシマ社) 「善き」とはなにか?「がんばってる」とか「仕事ができる」といったことでは決してない。本書は、書店員という仕事と向き合う人たちの肉声を可能な限り文章にすることでその「善さ」がじわじわとしみこんでくる一冊だ…

日常をはなれて 『じつは、わたくしこういうものです』

『じつは、わたくしこういうものです』(クラフト・エヴィング商會/文春文庫) フィクションなのか、リアルなのか。あいまいな18の仕事人へのインタビュー集。「チョッキ食堂」「コルク・レスキュー隊」「シチュー当番」など、登場するのはありそうでなさそ…

かんがえるきっかけ 『PERMANENT』

『PERMANENT』No.4 (PERMANENT BROS) 「つくる、たべる、かんがえる」をテーマにしたリトルプレス、『PERMANENT』。4号目となる今号では、調理する人、育てる人、そして食べる人、三つの視点がさらりと綴られる。 「心の結び目」となるような手作りのお弁…

本の遊びかた提案 『一箱古本市の歩きかた』

『一箱古本市の歩きかた』(南陀楼綾繁/光文社) 11月2日(土)「天神さんからおでかけ一箱古本市」が当店の目の前、バンビオ広場にて開催されます。 一箱古本市とは、プロ、アマ、年齢、性別を問わず、各々が持ち寄った箱の中に商品を詰めて、本屋さんごっ…

のんべえによる、のんべえのための『のんべえ春秋 3』

『のんべえ春秋 3』(木村衣有子/木村半次郎商店) 文筆家・木村衣有子さんのつづるお酒にまつわる小話が詰まったリトルプレスの第三弾。小説あり、エッセイあり、酒器にまつわる裏話ありと記事の幅は今号でも多様だ。酒を軸としてはじまる話題は、まるで居…

しっかりのんびり フリー冊子『のんびり』

『のんびり 2013 Autumn 06』(のんびり編集部/秋田県)

普通ってなに? 『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』

とんぼの本『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』(橋本麻里/新潮社) 戦国時代の戦がどのようなものだったのか、私には想像することしかできない。だが、本書を眺めているとかなりのんびりした戦いを思い描いてしまうのである。なにしろ頭に大きなハマグリをのっけ…

よう知らんけど、『よう知らんけど日記』。

『よう知らんけど日記』(柴崎友香/京阪神エルマガジン社) 人の日記を盗み見るのは楽しい。そこに自分のことが書いてあればなお楽しい。ちょっと悪いことしてるという快感。 本書は、小説家・柴崎友香の日常をなんとなく切り抜いた日記帳である。テレビ見…

いいものをきちんと。 『民藝の教科書① うつわ』

『民藝の教科書① うつわ』(久野恵一・萩原健太郎/グラフィック社) 普段どんなうつわを使っていますか?と聞かれた時、すぐに答えられるだろうか。窯元で購入したうつわ、引き出物にもらったうつわ、体験教室で焼いたうつわ、100円ショップのうつわ・・・…

街の「あそび」再発見 『 cococu -おうみの暮らしかたろぐ- 』

『 cococu -おうみの暮らしかたろぐ- 』vol.4 (cococu編集部) どんなささいなものにも隙間がある。この街にも、あの駅にも、そしていま座っているこの椅子にも。 そんなことを改めて教えてくれるのが、京都のおとなり滋賀県発のリトルプレス『 cococu -お…

『終わりなき旅の終わり』の行く先

『終わりなき旅の終わり―さらば遊牧夫婦』(近藤雄生/ミシマ社) 『遊牧夫婦』、『中国でお尻を手術』と続いたシリーズ第三弾にして最終巻。著者・近藤雄生さんとその妻・モトコさんの5年間の旅の最後の一年間を描く。ユーラシア大陸を横断しアフリカに至る…

翼を持った言葉 『絶叫委員会』

『絶叫委員会』(穂村弘/ちくま文庫) 「翼」を持った言葉、というものが確かに存在する。バスの中で、人ごみの中で、家のベランダで、不意に出会う、突き刺さる言葉。 たとえば、近所のスーパーにあった張り紙。 「このドアは10時ジャストにオープンします…

職人さんたちの横顔 『京職人ブルース』

『京職人ブルース』(米原有二・堀道広/京阪神エルマガジン社) 300人以上の職人さんに取材をし、その技や生き方を描いた一冊。 日常生活で出会うことがないためか、「職人」と聞くと、無口で頑固で恐い白髪の親父のイメージが頭をよぎる。工房に籠ってひた…

こわいもののこわがり方 『ちのり』

『ちのり No.00』(ちのり文庫) 名前のないものはこわい。 たとえば部屋の床に落ちていたこの髪の毛。自分のものか、それともほかの誰かのものか。落とし主の名前がわかればなにもこわくない。「誰のもの」という名前をなくした瞬間、それはこわくなる。長…

開催中フェアのお知らせ「福音館書店月刊8誌バックナンバーフェア」

「福音館書店の月刊8誌バックナンバーフェア」はフェア開始時よりおかげさまでご好評をいただき、会期を延長しましてこの夏いっぱい店頭絵本スペースにて大きく展開をさせていただいております。 福音館書店の月刊誌は、「こどものとも」の1956年創刊より長…

『ふしぎの時間割』のふしぎな記憶

『ふしぎの時間割』(岡田淳/偕成社) 小学6年生のころ、しょっちゅう居残りをさせられていた。漢字のミニテストが苦手で、2点とか3点しか取れなかった僕は、延々と書けなかった漢字をノートに写していた。みんなが帰ってしまった教室はやけに広く、誰もいな…

極私的ガイドブック 『マイ京都慕情』

『マイ京都慕情』(みうらじゅん/新潮社) 京都で生まれ育った、著者みうらじゅんの幼いころの町やエピソードをもとに構成されたガイドブック。高校卒業までを京都で過ごした著者の京都への思い入れがじわじわと伝わってくる。小学校のころに過ごした大将軍…

新入荷 『本屋図鑑』

『本屋図鑑』(本屋図鑑編集部・得地直美/夏葉社) 日本全国の「街の本屋さん」を取材して完成した『本屋図鑑』が入荷しました。 「図鑑」と銘打ってある通り、本書は本屋入門のためのテキストです。本屋の立地や棚のジャンル分け、さらに流通の形態や一日…

新入荷 『きみの町で』

『きみの町で』(重松清/朝日出版社) 大きく分けて2つの内容をもつ本です。11篇の短編のうち、「あの町で」と題された4編は東日本大震災にまつわるお話。理不尽な力によって振り回される人間のちいさな物語は、胸の奥をきゅっとつかまれるような感覚を持ち…

ビジネス書の棚から 『就職しないで生きるには』

『就職しないで生きるには』(レイモンド・マンゴー/晶文社) 当店のビジネス書の本棚から、1970年代のアメリカで書かれ、今なお読み継がれるロングセラーをご紹介します。初版が発行されたのは1979年。日本では1981年に翻訳され、刊行されました。著者のレ…

新入荷 『柳ケ瀬BOOK』

『柳ケ瀬BOOK』(柳ケ瀬ブック編集部) リトルプレスの面白さはなんといっても「小さい」ところ。個人がつくるという出版規模も、一つ一つの記事の取材範囲も、判型だって、すべてが小さい。そしてその分、身近です。 『柳ケ瀬BOOK』もそんな「ちいささ」を…

新入荷 『土屋耕一のことばの遊び場。』

『ことばの遊び場。』(土屋耕一 和田誠・糸井重里 編/東京糸井重里事務所) 戒名までも回文であった(シコウインコウトウコンイウコシ)という、コピーライターの土屋耕一が遺した数々のことばが、丁寧な造本によって「回文の愉しみ」と「ことばの遊びと考…

リニューアル棚紹介 VOL.3

リニューアル棚紹介第3弾。入り口正面の列をすすんで左手にある「宗教を考える」棚です。 古代ギリシャの神話から始まりキリスト・イスラム・ユダヤの各宗教から、仏教や神道までをそれぞれやわらかくご案内した書籍を展開しています。他にも、現代の宗教とし…

リニューアル棚紹介 VOL.2

リニューアル棚紹介、第二弾は「日本の文学」の棚です。入り口からみて一番手前、トップ台の裏側に位置するこの棚では、明治から昭和までのいわゆる近現代文学作家をご紹介しています。 『近代日本の文学史』(伊藤整/夏葉社)江戸の末期から明治、大正、昭…

リニューアル棚紹介 VOL.1

大幅にリニューアルして見やすくなった店内。棚の様子を少しずつご紹介していきます。 まずは入り口はいってまっすぐ奥、ここは「身近な社会学」をテーマに、家族・地域といった身のまわりのものや出来事から社会全体について考える棚です。 身近なとなり近…

店内をリニューアルしました

店内の書棚を、姉妹店である一乗寺店スタッフ協力のもと、一部大幅にリニューアルいたしました。 リニューアルに際して、これまで見晴らしの悪かった背の高い棚を一新し、面出しを多用した広々とした空間へと変化。出版社やあいうえお順にならんでいた文庫棚…