「福音館書店のむかしばなしフェア」開催中です

 

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  当店にて開催中の「福音館書店のむかしばなしフェア」のご紹介です。

 

 子どもの頃に読んで、今も心に残っている昔話はありませんか?私にとってのそれは『さんまいのおふだ』。絵がおどろおどろしく、おはなしも怖いのに、ついつい何度も読んでしまう。恐ろしくもありながらとぼけていてユーモアがある。そんな昔話の不思議で豊かな世界に、子どもながらに大事な何かが潜んでいる気配を感じ、魅了されていたように思います。

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 昔話は、長い歳月をかけ、人々の口で語られ耳で聞くことで伝承されてきたおはなしです。

 日本人が語り伝えてきた昔話には、日本の農村、漁村、山村の風景が語られています。そこでは動物たちが人間を相手に仕事を手伝ってくれたり、かと思うと脅かしてみたり、いろいろなことをして関わります。そして、自然そのものが神様としていろいろな姿であらわれます。庶民の楽しみでもあった昔話ですが、その中には厳しい時代を生き抜いてきた先人の知恵や願いがこめられています。

 どんどん複雑になる今の時代だからこそ昔話から教わることがとても多いように思います。昔話を子ども時代にたっぷり味わうことが、将来、人生の難問にぶつかっても、しなやかにたくましく乗り越える力を育むことにつながり、また昔話の豊かな世界が子育てをする親をも教え導いてくれるように私は感じます。ぜひ、親子で、ご家族で、日本の昔話をじっくり味わってみてください。まだまだ知らないおもしろいお話がたくさんあるはずです。知っているお話を改めてじっくり味わうのもいいですね。

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以下、当店で開催中の「福音館書店のむかしばなしフェア」より数点ご紹介いたします。

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『はちかづきひめ』(長谷川摂子 再話/中井智子 絵)

一生鉢を被っていなくてはならない不遇な娘の物語。真実の愛が成就した時に奇跡はおこる。室町時代から伝わる日本のシンデレラ物語を美しい日本画でお届けします。

 

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『かえるをのんだととさん』(日野十成 再話/齋藤隆夫 絵)

  腹の痛くなったととさんは、寺の和尚に相談に行くと「腹に虫がいるから蛙をのむといい」と言われ、蛙をのみこみます。その後、蛇、雉、猟師、鬼と次々にのみこみ、最後は……。

 

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『ねずみのおよめさん』(小野かおる 再話・絵)

ネズミの夫婦が大事な娘の婿にと、世界で一番偉いものを探します。おひさま、雲、風……と次々にお願いして、最後にたどり着いたのは……。 

 

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『おんちょろちょろ』(瀬田貞二 再話/梶原俊夫 絵)

一夜の宿を貸した男の子がでたらめに作ったお経を、熱心に唱え続けた老夫婦。その「ありがたいお経」が泥棒たちを退散させます。

 

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『ちゃあちゃんのむかしばなし』(中脇初枝 再話/奈路道程 絵) 

こちらは読み物です。「ちゃあちゃん」こと中脇初枝さんが、子ども時代を過ごした高知県四万十川流域に伝わる昔話を、全国の子どもたちにも楽しんでほしいとの願いを込めて再話しています。「かちかち山」「さるかに合戦」などおなじみのお話から、この地方ならではのお話まで、時代を越えて愛されてきた昔話のなかから50話を選んでいます。

 

 

 いかがでしたでしょうか?この他にもたくさんの魅力的な昔話絵本をご用意しています。ガイドブックもありますのでぜひお手に取ってご覧ください。

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 また福音館書店「こどものとも絵本」の昔話をお買い上げいただいた方には、先着で以下の丸いPOPをプレゼント中です。3つともかわいい!!どれがあたるかはお楽しみ。数量限定なのでお早めにどうぞ。

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時代を超えて語られ伝えられてきた、聞いて楽しい、読んで楽しい昔話。ぜひ皆様でその豊穣な世界をお楽しみください!!

 

 (津村)

児童文学雑誌 『飛ぶ教室』 フェア 開催中です。

 

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『飛ぶ教室』フェアはじめました。

 

『飛ぶ教室』は、子どもの本と子どもの文化を掘り下げる総合誌を目指して発刊された児童文学雑誌。今江祥智さん、石森延男さん、尾崎秀樹さん、河合隼雄さん、栗原一登さん、阪田寛夫さんが編集委員となり1981年に発刊されました。幅広いジャンルの書き手による童話や短編、絵本のかき下ろし作品のほか、作家や作品の魅力に迫るインタビューや座談会など、読み応えのある企画がたっぷりつまっています。1995年に一度休刊しましたが2005年に復刊し、現在は年に4回光村図書さんから発刊されています。ちなみに雑誌名は、ドイツの児童文学者エーリッヒ・ケストナーの名作 『飛ぶ教室』から。梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』など、『飛ぶ教室』での連載から生まれた本も多数あります。

 

そんな『飛ぶ教室』の最新号45号が4月25日に発売となりました。当店ではバックナンバーもどーんと揃え、フェアを開催中です。以下、その一部をご紹介いたします。

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こちら7号は、『おしゃべりなたまごやき』『キャベツくん』などでおなじみ長新太さんの特集号。これ1冊で長新太さんの作品と人間の魅力についてたっぷり知ることができます。長さんへのオマージュとして、谷川俊太郎さん等が詩や物語をよせています。

 

 

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こちら12号は、発刊時より編集委員をつとめていた河合隼雄さんの特集号。臨床心理学者の立場から子どもの本に新しい光をあて、大人の読者と子どもの本とのあたらしい出会いを数多く作った河合さんへの感謝の気持ちを込めた追悼特集となっています。

 

 

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こちら33号は若手絵本作家特集号。高畠那生さんやtupera tuperaさん等による「きいろいボール」を共通テーマにした絵本の描き下ろしや対談、往復書簡など、若い絵本作家の方々の「今」がつまった1冊となっています。

 

 

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こちら41号は復刊10周年記念号。2015年の春で復刊10周年を迎えた『飛ぶ教室』になんと70名の作家・著名人が集った特別号です。そうそうたる顔ぶれの50名からのメッセージや、いしいしんじさん、ヨシタケシンスケさん、ミロコマチコさん、田口ランディさん等による創や、、辻村深月さん、幅 允孝さん、高山なおみさん等によるエッセイなどなど、とにかく大充実です。なんて豪華なんでしょう!

 

 

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こちら43号は、人が本と出会うための新しい環境づくりを提案するブックディレクター幅允孝さんを編集長に迎えた1冊。「飛ぶ教室のなかに本屋開いちゃいましょうか」という幅編集長の一言で始まったこちらは、読書が閉じたもので終わらないためのブックガイド的な1冊となっています。様々なジャンルの世界で活躍する8名が「本屋さん」になって本を紹介していたり、ヨシタケシンスケさんとtupera tuperaさんの対談もあります。

 

 

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そしてこちらが最新号の45号。昨年3月に惜しまれつつも亡くなられた児童文学作家今江祥智さんの特集号です。今江さんがいたからこそ生まれたもの、今江さんの作品があったからこそ育まれたものを、40名を超える執筆者とともに特集しています。今江さんが翻訳した絵本も一緒に。

 

以上、いかがでしたでしょうか?表紙を見ただけでワクワクする特集ばかりです。上記以外にもずらっと取り揃えておりますので、ぜひ一度ご覧ください!

 

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『飛ぶ教室』フェア
期間:4月25日(月)~
場所:店内フェアテーブル

 

 

(津村)

 

2016年3月 月間ランキング

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1     幸せになる勇気(岸見一郎/ダイヤモンド社)

2  天才(石原慎太郎/幻冬舎)

3  七つの会議(池井戸潤/集英社文庫)   

4  おやすみ、ロジャー(カール・ヨハン・フォルセン・エリーン/飛鳥新社)

5  京都ぎらい(井上章一/朝日新書)

6  また、同じ夢を見ていた(住野よる/双葉社)

7  わたしのじてんしゃ(益田ミリ・平澤一平/ミシマ社)

8  嫌われる勇気(岸見一郎/ダイヤモンド社)

9  112日間のママ(清水健/小学館)

10 OLIVE(NOSIGNER/KADOKAWA)

 

(集計期間 2016/3/1-3/31)

  

 当店3月のランキングは以上の結果となりました。

 

 1位は『幸せになる勇気』。

8位にランクインのベストセラー『嫌われる勇気』の続編です。前作で哲人と対話してアドラー心理学の考えを知った青年が、教師として生徒たちと3年間過ごした後、悩みながら再び哲人を訪ねるところから話は始まります。テーマは本当の「自立」と本当の「愛」。著者の岸見さんが「『嫌われる勇気』が地図だとすれば、『幸せになる勇気』はコンパスとなる一冊」とあとがきで語っている通り、前作を具体的に掘り下げた、より実践的な内容となっています。アドラー心理学を通して幸せにいきるためのヒントが詰まった、人生の指南書となる1冊です。

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 5位は『京都ぎらい』。

「新書大賞2016」で1位を獲得したこちらが5位にランクイン。「千年の古都のいやらしさ、ぜんぶ書く」。挑発的な帯が目を惹くこちらは、京都(嵯峨)生まれ京都(宇治)在住の著者が洛中在住者の優越感、風俗、宗教、歴史などについて書いた1冊です。京都の内側の「いけず」な素顔が満載のこちらの本。長岡京の人々はどう読むのでしょうか?

 

 7位は『わたしのじてんしゃ』。

3月から当店にてパネル展を開催中で、先日は著者の益田ミリさんと平澤一平さんをゲストに迎えてイベントを行ったばかりのこちらの絵本が7位にランクインしました。冒険の旅に出ようとする女の子。出発前に自分の自転車にベッドやおふろ、ブランコ、牧場など、「あれもほしい」「これもいいな」といろいろなものをつけていきます。ページをめくるごとにいろいろなものがくっついて、どんどん賑やかに変わっていく自転車。想像がムクムクとふくらむ、とても楽しくてなんともかわいらしいお話です。パステルカラーで描かれたその世界は温かくて愛らしく、親子でワクワク想像しながら楽しめる絵本です。当店で開催中のパネル展でもぜひその世界をお楽しみください。また、先日のイベントの様子はこちらでもご覧いただけます。おはなし会あり、制作秘話あり、お絵描き会あり、サイン会ありの、和気あいあいとした空気に包まれたとても賑やかなイベントになりました。お越しになれなかった方々のためにサイン本も作っていただきました。残りわずかですがまだご用意がありますので、ぜひどうぞ。

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 9位は『112日間のママ』。

 29歳の若さでなくなったアナウンサー清水建さんの奥様、奈緒さん。奈緒さんとの結婚から妊娠中のがん発覚、その後の出産、闘病、そして最後の日までが克明に記されています。息子さんはその時生後112日。3ヶ月です。正直、悲しみとつらさで心がいっぱいになりそうで読み出すのが怖かったのですが、清水さんから奥様へのラブレターでもある本書には大切なメッセージがたくさん詰まっています。家族について、命について、人生について、とにかく考えさせられる心にズシンとくる1冊です。

 

 10位は『OLIVE いのちを守るハンドブック』。

地震大国、日本。2011年3月11日のあの東日本大震災から5年が経ちました。そしてまた熊本や九州で大きな地震が発生し、今現在も続いています。改めて、いつ何が起きるかわからないなと、そして、自分や家族のためにきちんと備えておかなければならないと思い知らされました。3月に行った震災関連書籍を集めたコーナーで最も注目を集めたのがこの本でした。東日本大震災発生直後に立ち上がって話題となった、被災者に役立つアイデアを集めるwikiサイト「OLIVE」の書籍版です。生命を守るための方法、生活用品や食料の調達の仕方や作り方、避難所での過ごし方など、来たる「その時」に役に立つ150のアイデアがイラストでわかりやすく紹介された1冊です。防寒の仕方や、トイレやおむつなどの生理用品のこと、そして子どものためのおもちゃの作り方までとにかくアイディアが豊富。1円玉で電池が作れたり、ごみで水が濾過できたり、災害時でなくても試してみたくなるアイディアが満載です。こういうことを知っているかいないかは、災害が発生したその時にとても大きく影響するのではないでしょうか。特別な備えなしでもできる命を守る方法を教えてくれるこのハンドブック。一家に一冊、防災リュックに備えておきたいですね。

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 以上、3月のランキングでした。入学、就職、引越など、新生活がスタートする方が多いであろう4月。いったいどんな作品がランクインしているのでしょうか。来月のランキングもどうぞお楽しみに!

 

 

(津村)