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大変なことになっている 『楽しい古墳案内』

バンビオ店の本棚から

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『楽しい古墳案内』  太陽の地図帖023(平凡社)

 

古墳ブームが来ている、らしい。あのもこもこした風貌の、近寄れば思いの外でかい古墳。なんでもない田んぼの中や、静かな住宅街に突如としてのっそり現れる古墳。

小さい頃、祖母の家の近くに古墳があった。今ではこざっぱりとした公園になってしまったが、十数年前はとくに整備もされていないただの小山だった。民家の二階の窓ほどの高さの頂上に登ってしまうと、あとはとなりの家の物干しを眺めるぐらいしかすることはない。山の横っ腹に薄暗く口を開けた穴には目をやらないようにしてそろそろと下へ降りる。誰かでてきたらどうする、と考えなくてもいいことが頭をよぎり走って家に帰る。

本書では、そんな古墳を年代や様式で丁寧に分類し、構造を図解付きで解説し、エリアごとにガイドしてくれる。各エリアには「立ち寄りスポット」まで案内してくれる。ガイドブックによくある観光地近くのちょっとしたご当地スイーツやおしゃれなカフェなどを紹介するコーナーである。たとえば、大仙(仁徳天皇陵)古墳をはじめ巨大な古墳が点在する河内エリアでは、「大仙古墳」、「誉田御廟山古墳」、「軽里大塚古墳」を巡ったのち、「立ち寄りスポット」として四か所がおすすめされる。それが、「赤面山古墳」「古室山古墳」「ニサンザイ古墳」「堺市役所21階展望ロビー」だ。ほぼ古墳である。古墳めぐりのあいまに古墳に立ち寄る。ものすごいブームである。ちなみに堺市役所21階展望ロビーは近くの百舌鳥耳原三陵を眼下におさめることができる、貴重なスポットだという。もうほぼ古墳といって差し支えないだろう。すべては古墳のためにある。

どうやら古墳グッズなるものも登場しているという。そのうち定食屋に「古墳盛り定食」が登場するだろう。古墳ファッションで街を闊歩する人たちがめずらしくなくなる。古墳様式のマンションが立ち並び、就職先の人気ランキングに古墳がランクインする。とにかく、いま、古墳は大変なことになっているのだ。

 

 

(鳥居)