たくさんのふしぎ9月号『アリになった数学者』フェア開催中

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たくさんのふしぎ9月号は、当店の姉妹店恵文社一乗寺店で3ヶ月に1回ブックトークを開催してくださっている、独立研究者の森田真生さんによる『アリになった数学者』です。絵を担当されたのはマリメッコやSOUSOUなどのテキスタイルデザイナー、絵本作家でもある脇阪克二さん。

ある日、アリになった数学者がアリの目線で世界をみつめる物語です。
「人間ではない生きものたちに、はたして数学は通じるのだろうか。」
この世に実在しない数字というものはいったいなんなのか、そんな問いをはじまりに一歩ずつ世界のひみつに近付いていきます。

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今回パネルの展示と一緒に著者の森田真生さんにご紹介いただいた本も置いています。
生きものたちの知覚と行動を知るうえで重要な科学の古典『生物から見た世界』
「1とは何か?」という問いに、人生をかけて取り組んだ数学者フレーゲの『算術の基礎』
絵本を書く際に、アリの写真をたくさん送ってくれたという写真家、浅井美紀さんの『幸せのしずく World of Water Drops』は、物語に登場する、しずくのなかの世界を追体験できる写真集です。
数字の中に色や感情、動きを感じる共感覚の持ち主の著者による手記『ぼくには数字が風景に見える』

展示しているパネルの数式は、森田さんが抜き書きしたラッセルとホワイトヘッドによる「プリンキピア マテマティカ」の一部です。
1+1=2という誰でもわかる計算式がどういうことかということを定義した部分です。

数学と聞くと難しい学問だと思ってしまいがちですが、森田さんのいう数学はもっと身体的で、ひとつのしずくのなかに世界がうつりこむように、1という数字のなかに世界があって、それが動き続けていくのを眺めるような、そんなふしぎな体験です。
数学って苦手 と思っているお父さんお母さんにも一緒に読んでほしい絵本です。

脇阪さんが描いた絵を見ていると、テキスタイルをデザインすることと、数学をすることはどこか似ているような気がします。

日々の暮らしのなかに数学がまぎれこんでいるのをみつけてみるのも楽しそうです。

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(濱田)