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アメリカ文学への入門書 『アメリカン・マスターピース 古典篇』

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『アメリカン・マスターピース 古典篇』(柴田元幸/スイッチパブリッシング)

 

柴田元幸編訳による、アメリカ文学の名作中の名作と言われる短編を集めた一冊。古典篇・準古典篇・現代編とつづく三冊のうちの最初に刊行された一冊だ。本篇に収録された八人は、エドガー・アラン・ポーマーク・トウェイン、O・ヘンリーといった海外文学になじみのない人でも一度は耳にした事のある直球の作家ばかり。しかもそれぞれの代表的作品ばかりを集めたうえ、全てがとっかかりやすい短編小説や詩とあって初心者にはうれしい内容。

また、巻末に収録されたあとがきでは編訳者による、十九世紀初頭のアメリカ文学創生期から始まるアメリカ文学の流れに沿った簡単な解説がなされる。作家の生涯の中での作品の位置や、決して短くはないアメリカ文学の流れの中での位置をひとつひとつ再確認しながら読むことができる。『翻訳教室』(朝日文庫)や『書き出し「世界文学」全集』(河出書房新社)などのやさしい入門書を手掛けてきた編者だからこそつくれた、作品そのものだけでなく、アメリカ文学全体の魅力ををたのしむことができる贅沢なテキストだ。

本書を教科書に、アメリカ文学の世界へ一歩踏み込んでみたい。

(とはいっても結局は編訳者をして「馬鹿ばなし」といわしめた、マーク・トウェインの描くギャンブル狂のスマイリー爺さんと腹に鉛をつめられて跳べなくなった蛙のような、文学的にみれば精神性もへったくれもないと言われるような話が個人的には好きなのだが。)

 

 

(鳥居)