前田まゆみさん 絵本原画展はじまりました

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子どもの頃、海外の作家さんのお話を、福音館さんや岩波さんだったと思うのですが、読み始めようと表紙をめくると、お話や章の前の左隅にちいさく、短いけれどとても美しい文章や詩の一行が載っていることがありました。

 その小さな活字は控えめながら、何か心に訴えるものがあり、これから始まる物語の重い扉を開く私の、小さく灯る光となって、ずっと寄り添ってくれるのです。ことばは、ひかり…今回の前田まゆみさんの新しい本を拝読して、何故かそんな事を想いだし、懐かしいような温かな気持ちが蘇ってきました。

 

創元社さまより、5月16日に前田まゆみさん訳・絵の新刊「幸せの鍵が見つかる 世界の美しいことば」が発売されました。とても素敵な内容ですので、ご紹介をさせて頂きたいと思います。

中の文章より

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大好きなエミリ ディキンスンさんの文章

原文と翻訳を一緒に味わえるのも素敵ですね。声に出して読むと音楽のように聞こえる詩と訳詞の世界。

そこに添えられた慎ましく可愛らしい描画や、選び抜かれた色彩のハーモニーは、前田まゆみさんの絵本の魅力そのもの。リスのつぶらな瞳は純粋でありながら、とても強い意思のようなものを感じます。

 

もう1ページ、ご紹介させてください

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イヌイットの方にとって、ことばは形ではなく、いきもの全てに通じる魔法であり力。とても素敵な言葉ですね。前向きな気持になれます。

前田さんの画の中では異色の力強く燃える炎ですが、まるで私たちの心の中で燃えているように感じました。あたたかく脈打つ、赤ちゃんの心音を聴いた時のような印象…

 

ページを開くときっと素敵な出会いや気付きがあって、自分を見つめ直したり、ふっと昔のことを想いだしたり。とても素敵な本です。贈り物としてもきっと喜んで頂けると思います。ぜひご拝読下さいませ。

 

 

今回の発売と合わせて、6月3日(日曜日)まで、姉妹店の一乗寺店と長岡京のバンビオ店で、原画展をさせて頂けることになりました。

バンビオの様子はこちら

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長岡京のバンビオ店では、新刊とあわせまして、今年早春に発売されました絵本『くまのこポーロ』の原画と、当店で人気のある絵本『野の花えほん』の原画と表紙絵も展示させて頂ける事になりました。

『野の花えほん』は通年、緑と絵本のコーナーにおかせて頂いており、大人も子どもも楽しめる内容と、表紙絵の可愛らしさ故に、とてもご好評を頂いております。

前田さんの描く野の花は愛らしいのですが、きちんと虫眼鏡で見つめられたように観察されており、植物への敬愛を感じます。春夏と秋冬に分かれているのも魅力。さすがあすなろ書房さんですね。

『くまのこポーロ』は、胸がキュンと痛くなるような、親離れ、子離れがテーマのお話です。親子でいっしょにいられる時間は意外と短いことを、約2年で子育てを終えるツキノワグマの生態をもとに、丁寧に描かれております。

表紙絵のくまのこはひとりですっくと立つ姿。帯に「おかあさんは いつまでも あなたのおかあさんよ」と書かれているのですが、この一文、ちょっと涙ぐんでしまいます。子育て中のお母さんに読んでいただくと、色々感じいる1冊ではないでしょうか。

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今回、前田まゆみさんの京都のお店『LINNET』さんより、絵本の原画図案を元に制作されたオリジナルのポストカード、麻の生地を使ったファブリックや布小物、お洋服の型紙やセットを展示販売させていただいております。

こちらもあわせてお楽しみいただければ幸いです。

 

6月2日の土曜日 午後14時より、長岡京のバンビオ店にて、前田まゆみさんによる「大人の朗読会」とサイン会を開催させていただきます。

今回の本をお創りになられたエピソードや翻訳の裏話などのお話をして頂いた後に、ご本人による絵本「くまの子ポーロ」の朗読会もございます。こちらも愉しみですね。

朗読会とサイン会にご参加を希望されますお客様は、お手数ではございますが恵文社 バンビオ店まで、お電話でお問い合わせくださいませ。

電話番号:075-952-3421 (朝10時から夜21時までのお時間帯でお願いします)

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先生が皆様にお会い出来るのを、とても楽しみにされております。ぜひご参加下さいませ。

 

バンビオ店

星山

2018年4月ランキング

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1  かがみの孤城(辻村深月/ポプラ社)

2  火星に住むつもりかい?(伊坂幸太郎/光文社文庫)

3  流れの勘蔵(佐伯泰英/ハルキ文庫)

4  そのまま食べる作りおき(ベターホーム協会/ベターホーム出版局)

5  漫画君たちはどう生きるか

  (吉野源三郎 著・羽賀翔一 絵/マガジンハウス)

6  本日晴天お片づけ(伊藤まさこ/筑摩書房)

7  警官の掟(佐々木譲/新潮文庫)

8  青くて痛くて脆い(住野よる/KADOKAWA)

9  AI vs. 教科書が読めない子どもたち(新井紀子/東洋経済新報社)

10 薬に頼らず病気に克つ最強の食事術(高浜はま子/コスモトゥーワン)

 

4月のランキングは以上のような結果となりました。(集計期間2018/4/1〜4/30)

 

1位は『かがみの孤城』(辻村深月/ポプラ社)。

2018年の本屋大賞1位に輝いた『かがみの弧城』が、やはり大きな注目を集めました。学校での居場所をなくし、閉じこもっていた中学生「こころ」の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めます。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が。なぜこの7人が、なぜこの場所に?すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれます。デビュー作やそれに続く初期の頃は主に「十代の物語」を書いていた辻村さん。その後、時を経た今だからこそ書ける、満を持しての「十代の物語」です。十代の人にも、昔十代だった人にも、生きづらさを感じるすべての人に読んでほしい物語です。

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4位は『そのまま食べる作りおき』(ベターホーム協会/ベターホーム出版局)。

当店では野田琺瑯などのキッチン雑貨も取り扱っていますが、それらの雑貨と一緒に購入される方が多い、当店で人気の料理本です。忙しい毎日には作りおきのおかずがあると少し安心します。この本で紹介しているのは冷蔵庫から出してすぐに食卓に並べられるおかずや、ちょっと温めるだけでおいしいおかずなど、すぐに食卓に並べられる「そのままでおいしい」作りおきおかず。そのままでおいしく食べられるよう、作り方や味つけを工夫しているので、食卓に出す前の調理は不要。平日、短時間で作れるものから、休日に作るごちそう作りおきまで、家族の予定や日々の暮らしに合わせて役立つ一冊です。

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6位は『本日晴天お片づけ』(伊藤まさこ/筑摩書房)。

料理や雑貨、インテリアなど、テーブルまわりのスタイリングを中心に多方面に活躍しているスタイリストの伊藤まさこさん。増えていく洋服や器の収納、冷蔵庫の中の残り物、物置きになっているソファやテーブルの上、財布の中に溜まるレシート、片付かなくて焦ってばかりの日々...など、気になる箇所一つ一つに向き合い、「心地よさ」という視点からインテリアと暮らしの整え方を伝授しています。無理せず、楽しく、元気よく!人生を楽しく変える、お片づけのあれこれを綴った一冊です。 

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9位は『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子/東洋経済新報社)。

メディアでも多数紹介されている、AI (人工知能)と人間の現状と未来について書かれた話題の一冊。著者は国立情報学研究所教授で数学者。東大合格を目指すAI「東ロボくん」の育ての親です。AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあると著者は語ります。同プロジェクトから見えてきたAIの可能性と限界、そして人間との関係は?最悪のシナリオを避けるにはどうしたらいいのか? 教育に関する専門家でもある新井先生からの提言です。

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以上、4月のランキングでした。

5月はどんな作品がランクインするでしょうか?次回もお楽しみに。

 

 

(津村)

【絵本の棚より】季節の絵本たくさん!

5月も中旬。ぽかぽか陽気を超えて、汗ばむ日も増えてきました。春の温かさもピークですね。

児童書売場も春全開です。これが過ぎれば梅雨ですが、その前のぽかぽか陽気の「今」こそ楽しみたい絵本を集めました。

 

こちらは春の絵本。お花や植物、ちょうちょや昼寝の絵本が並びます。華やかで温かくてどこかのんきな雰囲気が漂います。

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こちらは、お出かけや散歩の絵本。ピクニックや遠足、お弁当の絵本も並びます。そして家出も!なんだかワクワク。

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こちらは外遊びの絵本。どろ遊びや水遊び、ボール遊びなど。絵本を読んだ後は、外に飛び出しておもいっきり遊びたい!

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 以下、少しですがコメントとともにご紹介します。

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『モーモーまきばのおきゃくさま』マリー・ホール・エッツ 作・絵(偕成社)

春の牧場。牛は友だちをパーティーに招いて草をごちそうします。が、中には草のきらいな動物も。その動物たちは途中で帰ってしまいますが、馬や山羊、羊とは一緒に大好きな草を味わうことができ楽しく過ごすことができました...。気の合わない人もいる、自分とは違う人もいる。それぞれが違っていいし、わかってくれる人もいる。そんなことをありのままに伝えてくれる絵本です。ピンクの絵が春らしく、明るい陽気や友だちの温かさを感じられます。

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『きょうはみんなでクマがりだ』マイケル・ローゼン 再話/ヘレン・オクセンバリー 絵(評論社)

今日は朝からいい天気。家族そろってクマがりに出かけます。みんなで「ちっともこわくない」と言いながら、草原をぬけ、川をわたり、沼地をとおって、みんなでドンドンすすみます。そしてとうとうクマに遭遇。そのときみんなは...!あそび歌をもとにした、ストーリーも音も楽しいリズミカルな絵本です。冒険へ向かう勇ましい気持ちと怖い気持ち。くすっと笑いながらどちらの気持ちにも共感しつつ、最後は大きな安心に包まれます。

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『木はいいなあ』ジャニス・メイ・ユードリイ作/マーク・シーモント絵(偕成社)

「木はいいなあ」。木がたくさんはえると森になり、森はいつもいきいきしている。木に登って遠くを見ることもできるし、ブランコをつけて遊ぶこともできる。木は木陰を作ってくれるし、それから、それから...。子どもの目で見た木のある生活。木がある生活がどんなにいいかが、おおらかに描かれています。改めて木の魅力、自然の魅力に気づかせてくれる絵本です。自然への想いを強くしてくれます。

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『ちいさいおうち』バージニア・リー・バートン 作・絵(岩波書店)

静かな田舎にちいさいおうちがたっていました。自然がいっぱいだったちいさいおうちの周りには、やがて道路ができ,たかい建物がたち,にぎやかな町になります。それでもちいさいおうちはそこにありました。ボロボロになりながら...。全ページを通じて、ずっとちいさいおうちを中心にした構図で描かれており、ちいさいおうちの周りが変わっていく様子が印象づけられています。本当に大切なものは何なのか、そんなことを考えさせられます。子どもも大人もぜひ読むべき絵本です。

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『はじめてのキャンプ』林明子 作・絵(福音館書店)

大きい子たちにまざってキャンプに行きたいというなほちゃん。でもみんなは口ぐちに「小さい子にはできないよ! 」といいます。なほちゃんは大きい子たちに負けまいと、重い荷物もひとりで背負い、まきを集め、懸命にがんばります。夜、テントでこわいお話をききますが、なほちゃんはひとりでおしっこに行くこともできました...!背伸びしたい気持ち、自分でやりたい気持ち、そんな子どもの成長する心を応援する絵本。黄色中心の絵も魅力的。

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『ガンピーさんのふなあそび』ジョン・バーニンガム 作・絵(評論社)

ガンピーさんが小舟で出かけます。途中で子ども、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ニワトリ、ヤギが次々に「一緒に乗せて!」と乗りこんできます。はじめは無事でしたが、わがまま放題のみんなのせいで、なんと船が...!何でも受け入れるガンピーさんの優しさに反して、ダメといわれたことをことごとくやってしまう子どもや動物たちに笑いながらも、優しい大きな心をもった大人の存在が安心感を与えます。ガンピーさんのおおらかさに自分を省みて大人はドキッとする部分も。ほのぼの楽しめる絵本です。

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今の季節を味わえる絵本の数々。

ぜひお手に取ってご覧いただき、お気に入りの1冊を見つけてくださいね。

 

(津村)