【絵本の棚より】 「秋の絵本」そろいました。

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9月に入って朝夕はだいぶ涼しくなり、虫の声が心地よい季節になりました。そこかしこから秋の気配を感じます。 

児童書売場も秋モードに模様替え。秋を感じる絵本を集めました。秋の夜長にゆっくり楽しめる、味わい深いおはなしはいかがですか?

 

こちらは「おつきさまの絵本とおやすみなさいの絵本」。今年の十五夜は10月4日だそうです。空気が澄んで空がきれいに見える秋の夜に。

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秋の楽しみといえばどんぐり拾い。「どんぐり」の絵本もいろいろあります。

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「森」の絵本や「葉っぱ」の絵本も。

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 秋の食べ物といえば...。「さつまいも」の絵本です。

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 かわいらしい「りす」や、鳴き声が心地よい「虫」の絵本もあります。

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 9月18日は敬老の日。「おじいちゃんとおばあちゃんの絵本」も集めました。

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秋の絵本、いろいろありますね。

以下、少しですがコメントとともにご紹介します。

 

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『どんぐりかいぎ』こうやすすむ 作/片山健 絵(福音館書店)

どんぐりの木たちは、実を小動物たちに食べつくされて大弱り。「どうしたら元気な若木を育てられるだろう?」と会議を開きます。植物界と動物界の知恵くらべが始まりました...。北の国のどんぐりの森の中では、どんぐりがたくさんなる年と少ししかならない年が1年おきにあるそうです。それはどうしてなのかを作者が考えておはなしにしたのがこちらの絵本です。自然のしくみってすごいですね。かがく絵本ですが、物語形式のわかりやすい文と片山さんのダイナミックで温かみのある絵によって、子どもでも自然の神秘や壮大さ、厳しさを肌で感じられるはず。子どもと大人が一緒にうなずける絵本です。

 

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『もりのなか』マリー・ホール・エッツ 文 絵/間崎ルリ子 訳(福音館書店)

ラッパをもって森に散歩にでかけた男の子は、ライオン、ゾウ、クマと、いろいろな動物たちに出会います。男の子はラッパをふきながら、みんなと行列をつくって森を散歩をします。そして森の中でかくれんぼうをはじめますが、男の子が鬼をしているうちに動物たちは姿を消していました。かわりに現れたのは、男の子を探しにきたお父さん。お父さんは男の子を肩車しておうちに帰ります...。子どもの空想と遊びの本質が詰まったファンタジー絵本。白黒で描かれた絵が、想像をどこまでも広げてくれます。最後に現われたお父さんの最後のセリフ「きっとまたこんどまでまっててくれるよ」は、何度読んでもグサっときます。子どもにこんな風に言える大人になりたい。ファンタジー絵本の名作です。

 

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 『またもりへ』マリー・ホール・エッツ 文 絵/間崎ルリ子 訳(福音館書店)

ぼくが森へいくと動物たちがあつまって、自分の得意なことをして腕くらべをしようとしていました。みんな地面にすわり、ひとりずつ自分の得意なことをします。そこでぼくも仲間に加わって、子どもの象の真似をして、さかだちをしてはなでピーナッツをつまもうとしましたが、おかしくなって笑ってしまいました。するとみんなは、「森の動物達は誰も笑えないから、これがいちばんいい」と言いました...。前述の『もりのなか』の続編です。「笑えることがいちばん」って素敵ですね。やはりお父さんの声で動物達はいなくなりますが、息子の話すファンタジーを前作同様、自然に受け止めるお父さんがあいかわらずすばらしいなと思います。ぜひ『もりのなか』と一緒にお楽しみください。

 

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『はっぱをつかまえて!』オーレ・クネッケ 作/佐々木田鶴子 訳(ほるぷ出版)

アントンが庭そうじをしていると、はっぱが一枚落ちてきました。拾おうとすると、はっぱは風にのってひらひら。友達といっしょに追いかけます。一枚の葉っぱをつかまえるのに夢中になって遊ぶ子どもたち。せっかくかき集めたたくさんの落ち葉の山が...。子どもの日常をユーモアたっぷりに描いた絵本。そうそう、子どもってこんなよくことしますよね。遊びに夢中になる子ども達の姿がまぶしく、オチまで楽しい絵本です。

 

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『3びきのくま』L・N・トルストイ 作/バスネツオフ 絵/小笠原豊樹 訳(福音館書店)

森で迷子になった女の子は、小さな家を見つけます。食堂には大きなお椀、中くらいのお椀、小さなお椀に入ったスープが。女の子は小さなお椀のスープをすっかり飲んでしまいます。隣の寝室には大きなベッド、中くらいのベッド、小さなベッドが。女の子は小さなベッドで眠ってしまいます。そこへ、散歩に出かけていた3匹のくまが帰ってきて...。悪気のない女の子とそれに翻弄される大中小のくまたち。雰囲気たっぷりの絵と、何度も口に出して言いたくなるくま達の名前。ロシア絵本らしいとてもユーモラスな一冊です。

 

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 『もりのえほん』安野光雅 作・絵(福音館書店)

森の風景を目を凝らして見ると、ここに! こっちに!なんと130あまりの動物がかくされています。枝と枝がからまっているのが獣のように見えたり、樹木の肌が人の横顔のように見えたり...。こちらは文章のないかくし絵の絵本。一見すると青々とした森の風景ですが、その中に見事に動物たちが隠れています。探し絵を楽しめるのはもちろんですが、美しい森の絵は眺めているだけでも清々しい気分に。見るたびに違った景色が現れるようで、全ての動物を見つけるのはなかなか難しいかも。もしかしたら大人より子どもの方が上手に見つけられるかもしれませんね。 

 

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 『おつきさま こんばんは』林明子 作・絵(福音館書店)

静かな夜の空。屋根の上が明るくなって、しだいに金色に輝く丸いお月さまがでてきました。ところがそこに黒い雲やってきて、お月さまを隠してしまいます。でもだいじょうぶ。黒い雲は少しお月さまと話をして、また去って行きました。ふたたびあらわれたお月さま、にっこり笑顔で「こんばんは」...。まるでこちらに話しかけてくれているようなお月さまの優しい表情。思わずにっこりしてしまいます。裏表紙の「あっかんべ」の表情もいい。小さなお子さまから楽しめる、明るく優しいお月さまの絵本です。

 

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  『おつきさまこっちむいて』片山令子 文/片山健 絵(福音館書店)

男の子がいろんな形の月といろんな場所で出会います。あっちをむいていた三日月がだんだん姿を変え、やがてまんまるの満月に...。「おつきさま どうしてぼくについてくるの?」。子どもの素朴な疑問が温かいストーリーに。月が生活のひとコマひとコマにいつも自然にいて、その表情も状況によってさまざまだということに気づかされます。お月さまについて知りつつ、ストーリーもしっかり楽しるかがく絵本。日常の様々な瞬間に夜空を見上げたくなります。

 

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  『ぽんぽん山の月』あまんきみこ 作/渡辺洋二 絵(文研出版)

山の上で4匹の子うさぎ達が母さんうさぎを待っています。母さんうさぎが猟師に撃たれてしまったとも知らず。大きな月が登り、子うさぎ達の目に月の中のうさぎの姿が写ります。それがお母さんうさぎだと思ったうさぎ達は「おりてきてよう」「おなかすいたよう」と叫びます。そんな様子を木の陰から見ていたはずかしがりやの山んば。山んばは自分がやっとの思いで買ったおだんごを、そっと置いて立ち去ります。そしてそれを見ていた風の子は...。長岡京市在住のあまんきみこさんによるおはなし。お月さまのもと、ぼんぼん山でくり広げられる切なくも優しく温かいおはなしです。山んばが優しいというのがいいですよね。情景が目に浮かぶような美しい絵。読んだ後は月を見上げてうさぎを探したくなります。

  

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秋の世界を味わえる絵本の数々。

ぜひお手に取ってご覧いただき、お気に入りの1冊を見つけてくださいね。

 

 
(津村)