【絵本の棚より】「雨の絵本」はじめました。
6月。近畿地方も梅雨の季節になりました。
絵本売場も「雨の絵本」に衣替え。雨や雲、虹、傘、カエルなどの絵本を多数ご用意しました。
色や音、匂いなど、雨の季節独特の空気を感じられる絵本や、ゆかいなカエルの絵本など、この季節ならではの豊かさにあふれた絵本の数々。色彩豊かな美しい絵本も多いので、大人の方にもきっとじっくり味わっていただけるはずです。
以下、少しだけピックアップしてご紹介します。どうぞお楽しみください。
『雨、あめ』ピーター・スピアー 作・絵(評論社)
雨の日の楽しさや美しい世界が、姉弟のふたりを中心に絵だけで描かれた文字のない絵本です。レインコートを着て雨のふる庭へ飛び出していく喜び、クモの巣に光る雨のしずく、水たまりに広がる波紋、びしょびしょの体をふいて温かい飲み物を飲む瞬間、雨上がりの庭の澄んだ空気...。ページ細部まで雨の日の楽しさや美しさが溢れており、雨の豊かな世界に魅了されます。雨の日がきっと好きになる1冊です。
『おんなのことあめ』ミレナ・ルケショバー 作/ヤン・クドゥラーチェク 絵/竹田裕子 訳(ほるぷ出版)
女の子と雨のやさしい交流を描いた、 チェコの人気絵本作家による絵本。外を歩いていた女の子が雨に出会います。 雨は女の子と一緒に遊びたいのですが、 女の子が家に入ってしまって置いてけぼり。 雨は泣きながら女の子を探し回ります。 そこへレインコートを着た女の子が再び現れて…。雨粒ひとつひとつまで丁寧に描きこまれた美しい絵。ページをめくるたびに変化する雨の色彩が、 雨の気持ちを表情豊かに表しています。 雨を避ける人や動物とは対照的に、 雨を喜ぶ生き物たちのいきいきとした姿も印象的です。 女の子目線ではなく、雨目線ですすむお話も新鮮。 雨の日の美しさを教えてくれる絵本です。
『あかいかさ』ロバート・ブライト 作・絵/清水真砂子 訳(ほるぷ出版)
赤いかさを持って出かけた女の子。動物たちがかさに入れてと集まってきます。ウサギもキツネもニワトリも、そして大きなクマまでが…。気がつくとこんなにいっぱい!かさも大きくなったみたい。かさのなかでみんなで楽しいコーラスがはじまります。読んだ後はお気に入りのかさを持って外に飛び出したくなる、優しくてほのぼのとした雨の日の絵本です。
『かさ』太田大八(文研出版)
雨が降りしきる公園の脇を、真っ赤な傘をさして大きな黒い傘を脇に抱えた女の子が歩いています。友達とすれ違い、線路の橋を越え、歩道橋をわたって、女の子と赤い傘が進んでいきます。やってきたのは駅。おとうさんを迎えにきたのです。ケーキを買って、おとうさんの大きな傘に入り、家路につきます。黒一色で描かれた中に、女の子の傘だけが赤く彩られた文字のない絵本です。文字はありませんが色味を抑えた印象的な絵が女の子の心情をくっきりと浮かび上がらせます。想像をふくらませてじっくり雨の日の世界を味わえる絵本です。
『かばくんのふね』岸田衿子 作/中谷千代子 絵(福音館書店)
あの『かばくん』のいる動物園が、降り止まない雨のせいで洪水になってしまいました。キリンもカンガルーも小さい動物たちもみんな、子どもをつれて、かばくんの背中に乗せてもらおうとやってきます。かばくんは船となって自分の背中にみんなを乗せ、安全な場所に運びます。ちびのかばくんもがんばります。かばくん大活躍。大雨さえもなんだかのんきに楽しんでしまえるかばくん。リズミカルで味わいのある文と絵が特徴的な、自然と笑顔になるのどかで頼もしいかばくんの絵本です。
『ぞうくんのあめふりさんぽ』なかのひろたか 作・絵(福音館書店)
『ぞうくんのさんぽ』シリーズ。雨が降ってもごきげんなぞうくんが、かばくんを散歩に誘います。 「池の中ならいいよ」と言われ池の中を散歩しますが、 どんどん深くなり困るぞうくん。そして、わにくん、かめくんと、 次々友だちがやってきて…。ほのぼのしたおっとりなぞうくんと一緒に、 雨を浴びながら散歩している気分になる絵本。『 ぞうくんのさんぽ』同様、お決まりのラストに思わず笑ってしまいます。 何度読んでも楽しい雨の日の定番にしたい1冊です。
『だるまちゃんとかみなりちゃん』加古里子 作・絵(福音館書店)
だるまちゃんシリーズから。小さなかみなりちゃんが空から落ちてきました。かみなりちゃんと仲良くなっただるまちゃんは、迎えにきたかみなりどんに連れられて雷の国へ。雷公園のプールで遊んで、雷町稲妻通りゴロゴロ番地のかみなりちゃんのうちへ行って...。細部まで細かく描きこまれた絵が何度見ても楽しいこちらも大定番の1冊です。
『ふしぎなにじ』わたなべちなつ 作・絵(福音館書店)
鏡のように反射するピカピカの紙でつくられた絵本。絵本を開くと、両側のページの絵が互いに映りこみ、立体的に見えるしかけになっています。角度によって開く度に微妙に見え方が変わるのもおもしろいところ。ページとページの間に浮かび上がる様々な不思議な虹の美しさを存分に楽しめる、これまでにない新しいしかけ絵本です。
『かえるがみえる』松岡亨子 作/馬場のぼる 絵(こぐま社)
「かえるがみえる」「かえるにあえる」「かえるがかえる」「かえるがふえる」...。「かえるが(に)◯◯る」の韻をふむことばの連続とユーモラスな絵で進む、かえるの国のおかしな物語を楽しめる絵本です。出てくる出てくることばの数々。その「かえることば」の多さにびっくり!そして思わず唸る秀逸なフレーズも。日本語のおもしろさに出会える、とにかく愉快なことばあそび絵本です。大人もハマる楽しさです。
『ゆかいなかえる』ジュリエット・ケペシュ 作・絵/石井桃子 訳(福音館書店)
ゆかいな4ひきのかえるの物語。水の中の4つのたまごは、おたまじゃくしからりっぱな4ひきのかえるに成長します。かえるたちは、泳ぎの競争をしたり、かたつむりをかくしっこしたり、ときには敵から身をかくしたりと仲よく愉快にくらします。そして夏が終わり冬がくると、花が咲く春まで眠ります。ユーモラスな絵とリズミカルな文章で、かえるたちの楽しげな1年の暮らしが綴られるとともに、自然の厳しさや生物のたくましさも描かれた絵本。生物としてのかえるの生態にも興味がわきそう。
以上、お楽しみいただけましたでしょうか。
家の中で過ごすことが増える梅雨の季節を、楽しいものにしてくれる「雨の絵本」。
上記以外にもたくさん並べていますので、ぜひお手に取ってお楽しみください。
(津村)