『へろへろおじさん』(佐々木マキ/福音館書店)パネル展 開催中です
佐々木マキさんの絵本『へろへろおじさん』のパネル展がスタートしました。
「このおじさん、今日はとことんツイてない。友だちに手紙を出そうと思っただけなのに、家を出ようとしたら階段を転げ落ち、道を歩けば空からマットが降ってくる。さらには道の向こうからとんでもないものが……!もはや体はよろよろ、手紙はしわくちゃ。おじさんは身も心もすっかりへろへろです。」
神戸出身で、現在は京都にお住まいの佐々木マキさん。『やっぱりおおかみ』や、『ムッシュ・ムニエル』シリーズ、『ぶたのたね』シリーズ、『ねむいねむいねずみ』シリーズなど、たくさんの絵本を発表されています。村上春樹さんの著作をはじめとした、イラストレーターとしての多数の装画や挿絵も有名ですね。ちょっとナンセンスでなんだか可笑しくて笑ってしまう、佐々木マキさんが生み出す絵本たち。『へろへろおじさん』も、あまりに不運続きで気の毒なおじさんの姿に「もう勘弁してあげて!」と同情しつつも、ついつい笑ってしまいます。その展開はお約束のコントを見ているかのようです。
私の好きな場面。まさかの突然のブタ登場。これは何度見ても笑ってしまいます。
こちらも印象的な場面のひとつ。いままでの不運はなんとか我慢できても、自分をなぐさめるためのアイスクリームまで落としてしまうなんて、私もこれは耐えられない!おじさーん…!(ちなみにハッピーエンドなのでご安心を。)
今回はその『へろへろおじさん』の全場面と、その下には同じ場面を描いたラフスケッチを展示しています。「このスケッチがこうなるのか」と興味深くご覧いただけるはずです。さらには全場面が1枚に収められているラフや、「こどものとも」発行時の折込付録のインタビューもパネルにして展示中です。ラフや構成図とあわせてストーリーを追っていくと、『へろへろおじさん』誕生までの佐々木マキさんの頭の中を覗かせてもらっているような気分になります。
また、『へろへろおじさん』の他にも、佐々木マキさんの手がけた絵本やその他の作品も集めています。佐々木さんの絵本に登場する人気キャラクターが集合したマスキングテーブなんてのもあります。
『母の友 2016年9月号』に掲載されている佐々木さんのインタビューには『へろへろおじさん』についてこんなことが書かれています。
「あのおじさんも最後、なんとかなるでしょう?あの人も運の悪い人じゃなくて、ほんとは運のいい人なんですよ。あの本を読んで、おじさんがかわいそうだから、笑っちゃいけないんじゃないか、と思う人もいるようですが、なにしろ基本的に運のいい人なんですから、笑っていいんですよ。」
そう、へろへろおじさんは実は運のいい人なのです!最後の展開を見ると確かにそうですね。この話を聞いてからはより笑えるようになりました。
読めば読むほど親しみが湧く絵本『へろへろおじさん』。佐々木マキさんの描くその世界をぜひごゆっくりお楽しみください。
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『へろへろおじさん』パネル展
会期:5月15日(月)〜6月中旬頃
場所:恵文社バンビオ店
(津村)