『コント式 基礎からの夫婦問題集』

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『コント式 基礎からの夫婦問題集』(豊澤昌史・中田規子)

 

 真面目なのか不真面目なのか、不思議な冊子が届いています。イラストレーターである妻・中田規子さんと、大学の数学教授である夫・豊澤昌史さん。二人の日常で発生するさまざまな問題を四コマ漫画でとりあげ、数学的に解き明かす問題集です。なんでもない日常を描いたコミックエッセイの世界から数学用語に落とし込んだ解までの激しい落差に戸惑いを隠せません。

この冊子ぱっと見てイメージするのは、誰もが学生時代に向き合ったであろう数学問題集「チャート式」。何年か前、僕もページを開くことなく「赤チャート青チャート黄チャート…」と早口言葉のように繰り返し現実逃避していた記憶がよみがえった。最近、数研出版から刊行された『復刻版 チャート式』のシリーズ(幾何学/代数学)を開いてみる。

問題海の全面をことごとく一眸の中に収め、もっとも安らかな航路を示し、あわせて乗り上げやすき暗礁や浅瀬を一目瞭然たらしめる.

高校生のころ、このような崇高な方針を知っていれば、恐れをなして二度とチャート式のページをめくることはなかっただろう。

くらべて『基礎からの夫婦問題集』は「コント式」。夫婦生活という大海原で直面する難解な問題を、いかに笑うか。航路を照らしてくれるどころか、「そもそもこんな人間いる?」という根本的なところから突っ込まなければならない。便器に便座を付けるのは必要条件か十分条件か。温泉と自宅の距離の中心はどこで、半径はどのくらいか。答えの出ない問題が目白押しの本問題集。頭を抱えることなく、笑いとばして日々を送ることの大切さがじわじわ効いてくる。

 

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(鳥居)