読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『那覇の市場で古本屋』

 f:id:keibunshabanbio:20140509221717j:plain

『那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』(宇田智子/ボーダーインク)

 

とある沖縄の古本屋さんで店主は元気よく言い切った。「沖縄の本屋の未来はあかるいですよ!」ほんの一部分をのぞいた程度だが、その通りだなと思う。古本の業界だけではない。新刊書店、出版業界を含めて、沖縄の本を取り巻く環境は元気がある。ただいたずらに盛り上がっているだけではなく、読者と売り手と作り手が身近な場所で結びつき、一緒になって歩んでいる印象を受ける。本書はその象徴的な一冊ではないだろうか。新刊書店から古書店主へと転身したストーリーはもちろんのこと、出版を手掛けたのは沖縄に籍をおく出版社・ボーダーインク。沖縄の本にかかわる人たちが縦にも横にもつながってできた本だ。

本書を手掛けた宇田さんの営む「市場の古本屋 ウララ」を訪れた時のこと。小さな店の中でもひときわ目立つ正面に、小さな写真集が積んである。興味を惹かれて購入するとなぜか店主の隣にいた男性が「ありがとうございます」という。聞けば男性は写真集を手掛けた編集者なのだとか。小さな町の単なる幸運な出来事なのかもしれない。けれど小さな町だからこそ生まれた偶然なのだと思う。本書で取り上げられる、ウララ開店までの冗談のような日々もそう。島中の古書店がつながり、助け合っているからこその出来事ばかりだ。

店内で開催中のふるほんまつりへの出店を個別に依頼したときも、「沖縄の本が重ならないようにみんなで調整してみますね」「沖縄でまとめて一軒でもいいですよ」とまるでひとつのお店の別々の人にメールを送ってしまったのかと思うほどの返事がバラバラに来た。不思議な一体感をつくづく感じる。

本書に書かれていることは、沖縄だからできたことも多いだろう。同じことが別の都市でできるかと言われればちょっと違うのかもしれない。でもこんな風に生きている人たちがいる。それがなんだか安心できる。

----------

ふるほんまつり @ 恵文社バンビオ店

会期 5月1日(木)~5月31日(土)

第一部 ちょっと遠くのあの店この店
5月1日(木)~5月17日(土)

・市場の古本屋 ウララ (沖縄)
・言事堂(沖縄)
・ちはや書房(沖縄) 
・OMAR BOOKS(沖縄)
・古本ジャンボリーズ
    徒然舎 (岐阜)
    太閤堂書店 (名古屋)
    パパイヤ書店(愛知)
    古本屋ぽらん (三重)
・かたりあふ書店  (高知)
・古本BOOKENDS (富山)

第二部 最近できたあんな店こんな店
5月18日(日)~5月31日(土)

・homehome(京都)
・蚊帳文庫(大阪)
・びすこ文庫(神戸)
・(株)ひつまぶし(京都)
・町家古本はんのき(京都)
  古書ダンデライオン
  古書思いの外
  古書ヨダレ 
・古本長屋三番地(京都)
・とほん(奈良)
・マヤルカ古書店(京都)
・ふるほんやロシナンテ(京都)
・山椒文庫(京都)
・バカに文学を語る会(京都)
  榊翆簾堂
  ら・むだ書店
  古書柳
  ヒトノホン

※出店者は順不同で掲載しています

 

 

(鳥居)