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『縄文人になる!』

バンビオ店の本棚から

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『縄文人になる!』(関根秀樹/ヤマケイ文庫)

 

インパクトのある本だ。突然なタイトルと表紙を飾る縄文人。いったいなにが始まるのか。手に取らずにはいられない。

本書では、一万六千年前に実践されていたであろう火起こしの技術、石のナイフ造り、土器の焼き方、そして竪穴式住居の建て方まですべて写真入りで丁寧に解説してくれる。いや、解説ではない。記録だ。著者と思われる人物が数人がかりで実際に縄文時代の技術を再現している。だってこの本の目的は縄文人たちがどのような生活をしていたのかをただ紹介するのではなく、「縄文人になる!」ことだから。やみくもに縄文時代を再現するのではなく、技術の発達した現代において縄文人として生きていく方法を探った本だ。だからたとえば黒曜石で作る矢ジリを矢の本体に接着するとき、縄文人は蜜蝋や松脂などを使用していた、としつつ「木工用ボンドでも代用可」とやさしい一言が添えられる。めちゃくちゃ実用的じゃないか。ほかにも一本の糸から衣服を作ったり、ドングリからクッキーを作ったりと縄文人の知恵に驚愕させられる。しかしそれよりも驚くのがこの技術を現代に再現しわかりやすく説明してくれる著者の知識。黒曜石の産地や糸を布にする編み方など明日から使える情報ばかり。たぶん使わないと思うけど。

科学技術に溺れ便利さにゆるみきった現代に警鐘を鳴らす一冊、とかなんとかいうよりは単純に「いいもの見たな」という感想がしっくりくる。

 

 

(鳥居)