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『MONKEY』 VOL.2

バンビオ店の本棚から

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『MONKEY』 VOL.2 (柴田元幸/スイッチパブリッシング)

 

翻訳家・柴田元幸のもと編集された文芸誌。創刊号において「日本あり外国あり現代あり古典ありで、自分たちが読んで面白いものを好き勝手に取り上げていこうと思います。」と述べているように一見雑多な執筆人による質の高い作品が並ぶ。その第二弾である今号。特集を「猿の一ダース」として11の短編が収められた。冒頭に収録されたブライアン・エヴンソンの「ザ・パニッシュ」は、暴力的に薄気味悪く終わる暗い一編。幼少期の遊びや旧友との偶然の再会といった、本来なら明るいイメージのできごとを「ザ・パニッシュ」という得体のしれない単語の存在が薄暗く染める。なんとも後味の悪い小説だ。 この特集、なぜ猿なのか、なぜ一ダースなのかといった遊び心も含めて味わいたい。

また「猿からの質問」と題した記事ではレイ・ブラッドベリの『華氏四五一度』にちなんだ質問を著名人に行なう。『華氏四五一度』を未読の人はもちろん『華氏四五一度』を読まなければ気が済まないし、さらに各人の暗記してでも残したいという思い入れのあるそれぞれの作品にも惹かれる。

昨今、雑誌に載っている情報はたいていの場合WEBで検索でき、わざわざ買わなくても情報が手に入ってしまう世の中だと言われる。だが、本書に掲載されたそれぞれの作品は画面上に切り取られた状態ではなく、一冊の雑誌として編集されていることにも価値があると思う。

 

 

(鳥居)