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『沖縄本礼賛』

バンビオ店の本棚から

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『沖縄本礼賛』(平山鉄太郎/ボーダーインク)

 

著者は東京生まれ、東京育ち、東京在住の沖縄本コレクター。沖縄に関する記述がみられる本ならなんでも集めてしまおうというちょっと変わった方だ。その守備範囲は限りなく広く、沖縄に拠点を構える出版社の出すいわゆる郷土本から、沖縄出身の著名人が書いたエッセイや写真集、数ページを沖縄に割いた程度の紀行文まで、沖縄に関する記述があればなんでも揃えてしまうという。中でも衝撃的だったのが、ゼンリンの住宅地図。沖縄の住宅地図であればたしかに沖縄のことが書いてあるに違いない。通読すれば沖縄の住宅地事情には誰より詳しくなるだろう。しかしこれを沖縄の本と言ってしまっていいのだろうか?そんな心配をよそに著者が迷うのは、ちょっと高価という一点のみ。躊躇なく沖縄本コレクションに加えてしまう。いいのかそんなんで。

そもそも沖縄本とはなんなのか。著者は「沖縄に関して書かれた本や雑誌」だという。そんな定義とは別に、沖縄には「県産本」という言葉がある。沖縄県で出版された本という意味だが、そんな言葉ができてしまうほど沖縄には出版社が多いのだという。本書を刊行しているボーダーインクをはじめ、大小さまざまな出版社が数多く存在する。そんな風土だから「沖縄本」というジャンルが確立し、コレクターまで現れた。

 本書に登場する沖縄本のほとんどは一般にはお目にかかることのなさそうな学術書である。日本に50冊しかないような小難しい本を必死でかき集める著者の情熱には頭が下がるが、それ以上に50冊しか出せないような本を出版しようという沖縄の人たちの本に対する想いが伝わってくる。コレクションをしようとまでは思わないが、どこかで沖縄本と出会った時にはきっと手を伸ばしてしまうだろう。

 

 

(鳥居)