『青春ふたり乗り』

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『青春ふたり乗り』 (益田ミリ/幻冬舎)

 

『青春、手遅れ』のタイトルで2010年に刊行されていた益田ミリさんのエッセイが文庫化された。

青春時代に多くの忘れものをしてきたというミリさん。そのせいで、なのか、そのおかげで、なのか生まれてしまった、現実の年齢と心の年齢の奇妙なズレ。自分のかつての若さにただ憧れるでもなく、今では手遅れになってしまったできなかった数々のことを単純にうらやむでもない、ほどよい距離でかつての自分をみつめる。

ノースリーブを着たり、タコさんウィンナーをお弁当に詰めたりしたいとはもう思わないけれど、ふたりでのる観覧車や自転車には憧れつづけていたり。デパートでチョコを選んでいる隣の若い女の子の肌艶にちょっぴり元気をなくしたり。そんな微妙なバランスの独身女性に向けて悪気もなく投げかけられる「娘さん、何歳ですか?」という言葉に、気持ちはまだ乙女というミリさんはそっと答える。

いつか本当の年齢に、わたしの心が追いつく日はくるのだろうか?なんとなく、一生追いつけないような気もするのである。

否応なく重ねられていく年齢に、下手に抗うのではなく、自然体で向き合う姿勢。女性でなくとも、共感しつつ前向きになれる言葉が詰まった一冊だ。

 

 

ただいま店内では、益田ミリさんの最新作『みちこさん英語をやりなおす』(ミシマ社)の刊行にあわせて原画展を開催しています。ミリさんの直筆原稿をご覧いただけるチャンス。ぜひご来店ください。

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『みちこさん英語をやりなおす』発売記念 原画展

会期 1月31日(金)-2月15日(土) 最終日は18時まで

協力 ミシマ社

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(鳥居)