どうでもいいこだわりに溢れた人生の断片 『グだくさんのグ!!』

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『グだくさんのグ!!』(グレゴリ青山/メディアファクトリー)

 

京都在住の漫画家グレゴリ青山さんのエッセイ。「どうでもいいこだわりに溢れた人生の断片コミックエッセイ」との副題の通り、著者がハマったものたちはしつこいほどにキラキラと描かれる。前半のフィギィアスケートへのハマり方は尋常ではない。スケートとの出会いから”好き”の階段を一歩ずつ登っていく様子を描いているはずなのだが、冒頭から力の入れようが違いすぎて大変なことになっている。フィギィアスケートについて何の知識もなくたまにテレビで見かける程度の人間にとっては、とにかく著者の熱だけをひたすら感じるページが続く。

ほかのエピソードも同じく熱量を注ぎこんだエッセイばかり。『ナマの京都』や『しぶちん京都』(メディアファクトリー)でも描かれた、どっぷり京都に染まったわけではない著者だからこそ見える京都人の姿は共感できる人も多いはずだ。僕も、「バンビオ店かぁ…もうちょっと出世したら行けるかな~」と、京都市内の人が市外の街に抱いているよくわからない距離感を披露されたことがある。ちなみに言い放ったのは本書にも1コマだけ登場している(であろう)某書店員さんである。

猫や医者、旅先での出会いなど、溺愛しつつもちょっと冷静なところから眺める視点にいちいちうなずいてしまう一冊だ。

 

 

(鳥居)