かんがえるきっかけ 『PERMANENT』

f:id:keibunshabanbio:20131105201933j:plain

『PERMANENT』No.4 (PERMANENT BROS)

 

「つくる、たべる、かんがえる」をテーマにしたリトルプレス、『PERMANENT』。4号目となる今号では、調理する人、育てる人、そして食べる人、三つの視点がさらりと綴られる。

「心の結び目」となるような手作りのお弁当。農薬も化学肥料も使わず育てられた、「かちがある」野菜。身体のことを考えつくした食卓。本書に登場する人たちそれぞれの食べることに対する姿勢は、真剣そのもの。たとえば、菜食を中心とした食事法“ナチュラルハイジーン”を実践する成田家の食卓には、野菜中心の献立が並ぶ。食べることによって体調をコントロールする。そのことが食べることそのものを考えることにつながり、おのずと生きること自体を考えることにつながっていくという。

すべてをまるごと真似することはできないし、それがすべてではないかもしれない。当たり前のことだが、食べることに対する姿勢は人それぞれだ。

どれだけ身体に良くないと言われてもスナック菓子はぽりぽりおいしいし、急ぐときにはファーストフードが便利だ。どうしようもなくこてこてのラーメンがすすりたくなる日もある。二日酔いの朝には味噌汁よりも贅沢な食事はない。

もっと言えば、夜中にテーブルに肘をついて食べるのがふさわしい料理もあるし、ごちゃごちゃ考えずに食材を鍋にぶち込むという料理法もある。

土のにおいは理屈抜きに気持ちいいし、畑でかじるキュウリやトマトはどんな味付けのサラダにも勝てないと思う。

食べることの先には、当たり前のようにご飯を作る人がいて、食材を作る人がいる。そんな当然のことと向き合うつもりで、肩ひじ張らずに読みたい一冊だ。バイブルとしてではなく、ちょっとしたきっかけとして。

 

 

(鳥居)