いいものをきちんと。 『民藝の教科書① うつわ』

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『民藝の教科書① うつわ』(久野恵一・萩原健太郎/グラフィック社)

 

普段どんなうつわを使っていますか?と聞かれた時、すぐに答えられるだろうか。窯元で購入したうつわ、引き出物にもらったうつわ、体験教室で焼いたうつわ、100円ショップのうつわ・・・。家の食器棚をのぞけば思いの外たくさんのうつわがあることに驚く。毎日の食卓で使うもの、季節によって使い分けるもの、特別な日に使うもの。

そんな普段使いの日用品のなかに価値ある一品を見いだし、各地に代々受け継がれてきた職人の手しごとに光をあてたのが民藝運動なのだという。そしてそんな民藝の品を、民藝という言葉も知らないレベルから丁寧に教えてくれるのが、この『民藝の教科書』シリーズである。第一弾のテーマがうつわ。うつわについて、その歴史や産地、出会える場所まで細かに紹介してくれる。そもそも民藝のうつわとはどういったものか。これを簡単に定義づけたのが、「実用性・無銘性・複数性・地方性・手仕事」という5つ。普段使いの、無名の職人による、土地の特性を生かした手作りの品であるということ。つまり特別ではないこと。そして、美しいこと。使い続けられること。つまり、ややこしい定義はあっても、結局大切なのは使う人の直感なのだ。

いいものをきちんと使う、そんなシンプルなことを教えてくれる。民藝の世界の第一歩にぴったりの一冊である。

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当店で取り扱い中の中ノ畑窯のうつわや湯のみも、職人の丁寧な仕事が目に見える品ばかり。

いつまでも使い続けたいうつわを見つけてください。

 

 

(鳥居)