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リニューアル棚紹介 VOL.2

リニューアル棚紹介、第二弾は「日本の文学」の棚です。
入り口からみて一番手前、トップ台の裏側に位置するこの棚では、明治から昭和までのいわゆる近現代文学作家をご紹介しています。

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『近代日本の文学史』(伊藤整/夏葉社)

江戸の末期から明治、大正、昭和の文学史を非常にわかりやすくまとめた一冊。もともとは光文社の新書シリーズであるカッパブックスから出版されていたもの。一般向けのシリーズだけに文学を読み込んだ玄人だけではなく、初心者にもとっつきやすいよう内容を噛み砕いて記されています。このことは目次をみても明らかで、「明治以前の社会と文学」「外来文化と新聞雑誌の誕生」などなど、あくまでも文学史に重点を置きながらもその周辺の社会情勢や文化をきちんと記述することで、単なる文学史とは一味違った面白さを持っています。著者の伊藤整はそもそも、外国人向けに日本文学を紹介するという連載を手掛けており、その仕事をもとにして本書をまとめました。そのために日本の歴史や文化を詳しく知らない人にもきちんと伝わるような文学史が誕生したのです。本書を読まれてから以前に読んだ近代文学作品を再読してみると、また違った見方ができるかもしれません。

 


『言わなければよかったのに日記』(深沢七郎/中公文庫)

昭和三十一年、『楢山節考』でデビューし、『みちのくの人形たち』や『庶民列伝』などを遺した深沢七郎のエッセイ集。正宗白鳥や武田泰淳、井伏鱒二、伊藤整などと交流があり、先生と慕う彼らとの会話や委縮する自らの心境の描写は共感しつつ思わず笑ってしまいます。第一部では作家としてデビューする前後の生活を軽妙な語り口でつづっており、作家、ギター奏者などさまざまな顔を持つ深沢七郎が、『楢山節考』を世に出す過程を垣間見ることができます。先にご紹介した『近代日本の文学史』の最後に登場するのも、深沢七郎。『近代日本の文学史』の巻末エッセイを記した荒川洋治によれば、「『楢山節考』を超えるものがそれからあまりでない」のだそう。『楢山節考』と合わせて読みたい一冊です。

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ほかにも夏目漱石や森鴎外といった教科書にも頻出の大家はもちろん、星新一や井上ひさし、森茉莉などの著作まで幅広くラインナップしています。文学作品だけでなく、作家を特集したムックなど、作家や作品の周辺にまつわる書籍も取り揃えていますので、足を止めてみてください。


 
(鳥居)