後藤美月『おなみだぽいぽい』原画展はじまりました
後藤美月さんの初めての絵本『おなみだぽいぽい』の原画展がスタートしました。
「だから なきました おなかのおくに ある かたまり
ふつふつ ぜんぶ なみだに なるように」
授業で先生のいうことがわからなかった「わたし」は誰もいない場所で泣いてしまいました。かくしておいた大好きなぱんのみみも今日はのどがつまってうまく食べられません。涙のしみたぱんのみみをわたしが天井の穴にむかって投げると...。
子どもも大人も心の奥にしまっていた何かを思い出すストーリーと、斬新で色鮮やかな絵。うまく言えない泣きたい気持ちにそっと寄り添う絵本です。
切って、貼って、塗って、地層のように重ねられた原画は迫力満点です。
ずらっと並んだ原画は見応えがあります。
今回はおもしろい仕掛けもたくさんご用意しました。
天井では、ぱんのみみをくわえたはとのソフトグライダーがゆらめいています。
こちらは「ぽいぽいコーナー」。泣きたいときは、心の中のかたまりを全部投げ飛ばしてしまいましょう。天井に向かってぱんのみみを「ぽいぽい」っとどうぞ!
「ぽいぽいハウス」もあります。感想や思ったことなどを何でも紙に書いて「ぽい」っとしてくださいね。
こちらは「おなみだ部屋」。ひとりになりたい時に入れる小部屋です。ライトもあるので、ひとりでこっそり絵本を読んでみても、物思いにふけっても...。
後藤さんがイラストレーターとして装画を担当した書籍も並べました。あれもこれも後藤さんの装画です。表紙をみているだけで楽しくなります。
貴重な装画日記もお貸しいただきました。装画を担当した作品1冊1冊への後藤さんの思いやコメントが綴られていてとても興味深いです。
そしてこんなに素敵な後藤さんオリジナルのポストカードも。どれも本当にかわいくてどれにしようか迷います。
『おなみだぽいぽい』の対象読者は0歳~100歳超!読後は心の中の何かまで一緒に「ぽいぽい」されたような不思議なすっきり感があります。みなさま、ぜひお手に取ってご覧下さい。
そして貴重な原画、ぜひ間近でじっくりとご鑑賞くださいませ。
ご来店お待ちしております。
―― おなみだぽいぽい原画展 ――
◆会期:2017年8月25日(金)~9月9日(火)
◆場所:恵文社バンビオ店
◆作家紹介:
後藤美月(ごとう・みづき)
1981年、三重県生まれ。
名古屋デザイナー学院卒業後、子どもの本専門店メリーゴーランドに勤務。
その後、イラストレーターを目指し上京する。
書籍装画や新聞挿絵などの仕事を行うかたわら、絵本制作に取り組む。
本作が、初めての自作絵本になる。
(津村)
バンビオのお店便り 8月第2週
早いもので、暦の上ではもう立秋、秋になりました。
そういえば、トンボがすいすい空を飛び交っているのを見かけました。
とはいえ、真昼を過ぎると入道雲が黙々と現れ、激しい夕立が降り、ジメッとした蒸し暑さを感じると、心地よい秋はまだ遠く感じます。
今週はお盆期間に入り、いつもより閉店時間が早くなっております。8月11日より15日まで、夜は20時までの営業とさせていただきます。
今週の本棚より
『柑橘料理の本』 オーバーラップ
『畑生まれのおもてなし寿司 SUSHI MODOKI』 グラフィック社
夏は食欲がなくなる季節なのですが、お料理の本は色々知恵を絞って、美味しそうな特集のご本を作られております。個人的に檸檬大好き!なので、柑橘料理の本は美味しそうで、作ってみたくなります。
夏の料理といえば
アジアごはんの特集も気になりますよね。アジアはベトナムとインドと韓国しか行った事がありませんが、どこも本場の料理は美味しかったです。辛いけど...作るとなると、ニョクマムにするかナンプラーにするか。調味料いろいろ揃えないといけないので迷いますが、それも楽しみのひとつかも。
うーん、旅に出たくなりますね。そんな方にはこちらは如何でしょうか。
バンビオ店入ってすぐのコーナーで、冒険の特集をしております。小学生の頃なぜ秘密基地を作りたくなったのか、いまだ不明です。
わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい(昔のCMのキャッチですが)お子様をお持ちの方、ぜひご覧いただければ嬉しいです。タンタンの冒険、全シリーズ読みたくなりました。
最後に
『私の暮らしかた』大貫妙子
音楽のコーナーにありますが、とても素敵な内容のエッセイです。白いワンピースが大貫さんらしいですね。何か読んでみようかな、という時に、手に取ってみてください。
それでは。また。
バンビオ店 星山
バンビオのお店便り 8月第1週(2017年7月ランキング)
1 荒神(宮部みゆき/新潮文庫)
2 激流のサバイバル(スウィートファクトリ―・韓賢東 /朝日出版社)
3 豆の上で眠る(湊かなえ/新潮文庫)
4 夢三夜(佐伯泰英/文春文庫)
5 君の膵臓を食べたい(住野よる/双葉文庫)
6 小学館の図鑑NEO 危険生物(塩見一雄/小学館)
7 かいけつゾロリのかいていたんけん(原ゆたか/ポプラ社)
8 空にむかってともだち宣言(茂木ちあき・ゆーちみえこ/国土社)
9 パンダ銭湯(tupera tupera/絵本館)
10 鹿の王 1(上橋菜穂子/角川文庫)
(集計期間 2017/7/1〜7/31)
2017年7月のランキングは以上のような結果となりました。
1位は『荒神』。
宮部みゆきさんの『荒神』が文庫になり、1位を獲得しました。舞台は江戸・元禄時代の陸奥の国(東北)の、その南方に位置する架空の二藩。隣り合う二藩の反目、お家騒動、奇異な風土病など様々な事情の交錯するこの土地に「化け物」が現れます。太平の世にあっても常に争いの火種を抱える人びと。その人間が生み出した「悪」に対し、いかに立ち向かうのか。著者渾身の冒険群像活劇です。
2位は『激流のサバイバル』。
小学生に大人気のサバイバルシリーズの新刊が2位に。今回のテーマは「激流」。激流を下るサバイバルをしながら、地形に大きな変化をもたらす浸食作用や岩石に関する科学知識のほか、夏になると増える水の事故への対処方法などを身につけられる1冊となっています。初回限定版には「ふしぎ!トリックペン3本セット」と「ジオとピピのラバーストラップ」の2大特典付きです。
7位は『かいけつゾロリのかいていたんけん』。
夏休みということでこちらも小学生に大人気の「ゾロリ」の新刊がランクインしました。いたずらの王者をめざすゾロリとイシシ・ノシシは、海の底へ出発!竜宮城を目指します。しかし、深い海の底には、ダイオウイカやシンカイザメなどへんてこなが生き物ばかり。ゾロリたちは無事に帰ってこられるのでしょうか?「かいけつゾロリ」シリーズは今年でなんと30周年!30周年記念として初回限定版にはゾロリのフィギュアが付いています。また、京都高島屋では現在原画展を開催中で、さらに冬には映画も公開予定です。30周年のゾロリワールド、存分にお楽しみください。
8位は『空にむかってともだち宣言』。
今年の「青少年読書感想文全国コンクール」課題図書から、こちらの本がランクインしました。ミャンマーからやってきた転校生。あいりはすぐにうちとけてなかよくなりますが、給食のときにちょっとした事件が起きて…。それをきっかけに、クラスみんなで「アジアのご近所さん」ミャンマーのことや、日本にくらす難民についても学び始めます。こちらは小学校中学年の課題図書のひとつ。夏休みに入り課題図書を手にされるお客様が増えてきました。人気の作品は早々に品切れになることも。お求めの方はぜひお早めにどうぞ。
10位は『鹿の王 1』。
2015年本屋大賞受賞作の『鹿の王』が文庫に。6月と7月全4巻で連続刊行されました。たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かいます。感染から生き残った父子と、命を救うため奔走する医師。過酷な運命に立ち向かう人々の絆を描く、綿密な医療サスペンスにして壮大な冒険物語です。
以上、7月のランキングでした。
夏休み、旅行、帰省など楽しいことがたくさんありそうな夏真っ盛りの8月。どんな作品がランクインしているでしょうか。次回もどうぞお楽しみに。
(津村)